金魚地獄からの脱出
ホーム > 転覆病 (1) 概要 > 転覆病 (2) 詳細

金魚の転覆病 (1) 概要

1,転覆病には、①水面で浮き・転覆するもの、②水底で転覆するもの、③水面での浮き・転覆から水底での転覆に移行するもの、④水面と水底の両方で転覆するもの、⑤転覆病の関連症状として、水底でじっとしてうずくまるもの(転覆はしない)、がある。なお、水面や水底でひっくり返ったり、水底でじっとしてうずくまる症状は、何らかの病気や体調不良で弱っている場合にも起こる症状であり、全てが転覆病ではない。

2,転覆病の原因は、浮き袋の異常や神経の異常という説もあり、そういう場合もあると思うが、ここでは腸の問題として捉える。

3,金魚の浮き袋は、気道のある浮き袋(有気管鰾)であり、浮き袋(鰾)は、消化管(食道)と気道でつながっている。浮き袋内のガスの出し入れは、口から行われる。(なお、海水魚の多くは、浮き袋が消化管から独立した無気管鰾であり、浮き袋内のガスの出し入れは、ガス腺の毛細血管により行われる。)

4,金魚は、食道と腸の間に胃がない魚(無胃魚)である。無胃魚である金魚は、食べた餌を消化管内(胃)に貯蔵して時間をかけて消化することができない。食べた分だけ次々に消化管から排出されるため、日中連続的に食べ続ける。本来、金魚は、一日中(夜間を除く)餌を探して食べ続ける生き物である。しかし、一般的な水槽飼育では、人工飼料を定時に定量、投与しているため、飼育環境のストレスも相まって、転覆病の問題は発生しているのかもしれない。(金魚に餌を与えると、15~30分は食べ続ける。しかし、消化管(腸)を餌で埋め尽くすほど食べさせることは、金魚の健康を害する別の問題が発生する。)

5,水面での浮きや転覆症状は、浮き袋の空気や腸内のガスが過剰に溜まることで発生する。また、水中・水底での転覆は、腸内のガスに加え、体力の消耗(弱る)ことでも発生する。

6,金魚の体内に空気やガスが溜まるのは、空気が入る側(口 ⇒ 浮き袋)と出る側(腸 ⇒ 肛門)に問題が発生した場合である。これは、飲み込む空気、腸内で発生するガス、消化不良、便秘という問題で発生する。特に、水温変化が大きいとき(春・秋の季節の変わり目)や水温が低いとき(冬)に、腸の調子が悪くなり、消化不良を起こして発生しやすいが、夏の高水温時でも起こり、一年中、発生する。

7,転覆病の発生に関与するものは、①過剰な空気の飲み込み(エア食い)、②過剰な溶存酸素・窒素、③水温、④餌の種類・品質、⑤餌の量、である。餌のやり過ぎで消化不良を起こす場合もあるが、餌が少ないことで転覆病を悪化させる場合もある。

8,転覆病の治療で検討すべきことは、①空気(水中隔離)、②水温(加温)、③餌(絶食、餌の減量または増量、餌の変更)、④塩水浴(体力回復)、⑤整腸剤(便秘解消)、⑥抗菌薬(腸内細菌、エロモナス菌)、について、どうするかである。このうち一つ、または複数を実行する。

9,転覆病を甘く見てはいけない。転覆病それ自体で死ぬことはないので、数年、生きる場合もあるが、年齢や症状によっては数ヶ月で死ぬ。転覆病は、浮力の異常や転覆することによる疲労と、腸の疾患(消化不良・腸炎の悪化)により衰弱する。転覆病を見つけたら(特に、高齢の場合は)、放置しないで早めに対応した方が良い。時間が経つほど治療は困難になる。


金魚の転覆病 (2) 詳細
金魚の転覆病 (2) 詳細






このエントリーをはてなブックマークに追加


 金魚地獄からの脱出 金魚地獄からの脱出

> 金魚の転覆病 (1) 概要
> 金魚の転覆病 (2) 詳細
>

サイト内検索






※「金魚地獄からの脱出」は、オリジナル制作です。無断盗用によるホームページやブログ等の制作は、著作権侵害及び不法行為として禁止します。

Copyright(C) 2022 Office Jin. All Rights Reserved.